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入社3年目の「働き方」メディア

ベストセラー『伝え方が9割』の著者、佐々木圭一さんに聞く、若手社会人が身に付けるべき “伝え方”

仕事をする上で、「伝える」ということは重要なスキルの1つ。

伝え方を少し変えるだけで、企画が通りやすくなったり、上司や後輩とのコミュニケーションも円滑になり、仕事をスムーズに進めることができるようになります。しかし、入社間もない若手社員の中には「伝え方」や「コミュニケーション」に苦手意識を持っている人も少なくありません。

今回は85万部を超えるベストセラー『伝え方が9割』『伝え方が9割 2』の著者であるコピーライターの佐々木圭一さんに、若手時代に苦労したエピソードや「伝え方」についてお話しを伺いました。

 


書いたコピーはことごとくボツ「日本一エコじゃない」コピーライターの人生を変えた「言葉の法則」
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新卒で博報堂入社後、「理系にも関わらずコピーライターとして配属された」と著書の中でも書かれていますが、その時の心境はいかがでしたでしょうか。

佐々木:もともと、国語の授業などにある「登場人物の心境を答えなさい」というような微妙なニュアンスの問題や「あれもこれも正解」というのが苦手でした。一方、理系の勉強は基本的に「答えは1つ」。ここに心地よさを感じて、理系の道に進み、大学ではロボット系の勉強をしていました。

就職活動中、自分自身「どういった人生にしたいか」と考えた時に、「人とコミュニケーションができる人間になりたい」と気づき、博報堂でマーケティングをやりたいと思い入社しました。

コピーライターとして配属された理由は、入社後のクリエイティブテストで適正が出たからです。その時は、驚きましたね。人生にはこういうことがあるんだなと。

理系出身ということで、やはりコピーライティングやコミュニケーションなど、「伝える」ことに関して苦労されたのでしょうか。

佐々木:言葉を使ってコミュニケーションをする仕事は、入社して3年ほどはツラいことが多かったですね。とにかく書いたコピーがボツになっていく。上司にコピーを見せても突き返される日々で、「日本一エコじゃないコピーライター」と言われたりもしました。

仕事もなかなか進まず、たいてい帰りは終電。ですが、あるゲームのコピーが採用されて、終電の車内の中吊り広告にドーンと自分の書いたコピーがあってすごく興奮しました。同じ車両にいた何人かの酔っ払いに「これ僕の書いたコピーです」と言ったりして(笑)

とは言っても、採用されるコピーは書いた中でも1%どころか0.1%ほどだったかもしれません。


—3年目あたりで転職をされる方は多いですが、その時にコピーライターを辞めようとは思わなかったのでしょうか。

佐々木:私が博報堂に入社したのは20年ほど前。まだ転職するという文化があまり根付いていませんでした。

「最初に入社した会社に定年までいる」というのがメインストリームで周りにも辞める人はいませんでした。なので転職ということは思いつきませんでしたね。

 
現在では多くの名コピーを書き続けられていますが、コピーが採用されない毎日を乗り越えるキッカケは何だったのでしょうか。

佐々木:入社3年目くらいの時に、「言葉には法則があるんだ」と気づきました。それまで「伝え方」というのは、ひらめきが重要だと思っていて、「海に行けばひらめくんじゃないか」と考えて、海を眺めたり、テトラポットの上に登ったりしてみたこともありますが、全くひらめくこともなく(笑)

とにかく、根性で時間をかけてコピーを書いていましたが、ふと人々の記憶や心に残っている言葉を見ていたら「この組み合わせいいな」と感じる物をいくつか発見したんです。

例えば、ブルース・リーの「考えるな、感じろ」や、オリンピック柔道女子金メダリストの谷亮子選手が言った「最高でも金、最低でも金」。両方とも正反対の言葉を組み合わせてできています。これはたまたまなのか? それとも理由があるのか? 試しに自分のコピーに正反対の言葉を入れてコピーを書いてみました。それが、Mr.Childrenの『君が好き』というシングルの「言えないから、歌が生まれた」です。

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ネガティブな言葉の後にポジティブな言葉を組み合わせたコピーです。このコピーは、東京コピーライターズクラブの新人賞を受賞しました。

「伝え方」というのは「ひらめき」や「センス」が重要だと思っていましたが、技術に落とし込むことができると気づいて以来、ガラッと変わりました。

 

 

「認められたい欲」を使ったコミュニューションで仕事は上手くいく!

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若手社員が心がけるべき「伝え方」には、どういったものがありますか。

佐々木:例えば、企画を作るにしても「自分のやりたいことが100%」の企画では通りません。企画は売る相手がいます。どれだけ内容が素晴らしくても相手のことを考えていないと採用されることはありません。

入社3年目くらいだと、「自分のやりたいこと」を企画にしてしまいがちになるので、採用されることは難しい。すると「どうしてこんなに良い企画なのに通らないのか」と悩みます。私もそうでしたが、その理由は相手の頭の中を想像していないからです。相手が何を欲しているのかをしっかりと汲み取り、企画を作るのが重要です。

相手の頭の中を想像して良い企画を作ったとしても、例えば上司の山田さんに「できました。見て下さい」と言って出すよりも「山田さんのアドバイスを元に作ってきました」と言って提出するだけでも、最後までじっくりと読んでもらえて、採用されやすくなるはずです。

人には「認められたい欲」というものがあって、人の気持ちは伝え方で大きく変わります。「通してください」ではなく、「山田さんのアドバイスで作りました」と言うだけでも「見てみよう」という気持ちが強くなり、結果として採用となる可能性は大きく上がります。

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ビジネスシーンの多くの場面で「NO」と言われることは多いと思います。特に経験の浅い若手社員はなおさらです。「NO」を「YES」に変えるには、繰り返しになりますが「相手のことを考える」のが重要。相手のことを思って話すのは、当たり前のことですが、なかなか出来ていなかったりします。

「自分の思ったことをそのままに口にせず、相手の頭の中を想像し、相手のメリットと一致するお願いをする」これを意識するだけで、これまでの伝え方を大きく改善することができますので今日から実践してみて下さい。
■人物紹介■
佐々木圭一さん
コピーライター。上智大学大学院を卒業後、株式会社博報堂に入社。アメリカの広告賞「One Show Design」で日本人初となるゴールド賞を獲得するなど、数々の受賞歴を持つ。2014年に独立しクリエイティブブティック「ウゴカス」を設立。著書「伝え方が9割」はシリーズ累計85万部の大ヒットを記録している。

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